体系的に学べるMBMプログラム。現場スタッフの変化からマネジメントのあり方を考える|広島県広島市・ほーむけあクリニック

 
 
広島県広島市のほーむけあクリニックでは、2022年4月から9ヶ月間にわたり「メディカル・ビジネス・マネジメント・プログラム(医療機関マネジメント人材育成プログラム)」を実施しました。コロナ禍となり約3年、ほーむけあクリニックはいま、新たなスタートを切ろうとしています。
 
今回は、メディカル・ビジネス・マネジメント・プログラム(以下、MBMプログラム)を受講した8名のメンバーに、プログラムを通して変化したことや現場の様子についてお話を伺いました。この記事では、MBMプログラムの内容と受講生たちの成長について紹介します。
 
 
 

MBMプログラム(医療機関マネジメント人材育成プログラム)

ほーむけあクリニックにおけるMBMプログラムは、下記のスケジュールで進められました。講師は、岩本修一氏(株式会社DTG代表取締役CEO|医師、経営学修士)。参加者は、看護、事務、リハビリ、介護、地域連携など様々な部門に所属するメンバー15名。現地開催とオンライン開催を組み合わせたプログラムとなっています。
 
実際にほーむけあクリニックで取り組んだMBMプログラムのカリキュラム
実際にほーむけあクリニックで取り組んだMBMプログラムのカリキュラム
 
 

「スタッフがマネジメントの視点もってくれたことが何よりの喜び」――看護部長・井ノ口亜希さん

開業当初から院長の右腕として現場を支え続けている看護師部長の井ノ口さん
開業当初から院長の右腕として現場を支え続けている看護師部長の井ノ口さん
 
井ノ口さん
全6回の講義を通して、メンバーみんながマネジメントの視点をもってくれたことがとても嬉しいです。開業当初から、常に悩みながらリーダーシップについて考えてきました。普段から意思決定が委ねられる機会が多い私にとって、そのプロセスを共有できる仲間ができたことは大きな変化です。講義では、人材マネジメントの回が特に印象に残っています。これまで手探りでやってきたことが再確認でき、とても良かったです。
 
 

「納得感のあるスムーズなコミュニケーションが可能に」――副院長・塚本高裕さん

東京や北海道で家庭医療を学んだ後、2018年よりほーむけあクリニックで勤務する塚本医師。家庭医療専門医。
東京や北海道で家庭医療を学んだ後、2018年よりほーむけあクリニックで勤務する塚本医師。家庭医療専門医。
 
塚本高裕さん
これまで、マネジメントに課題を感じつつも日々の業務に追われてなかなか手が着けられなかったので、今回、日常業務をとめて院内のマネジメントに向きあえたことはとても良かったです。岩本先生の講義で学んだ「人に何かを依頼する時は、背景を伝えると良い」ということが、仕事でとても役に立っています。背景を丁寧に伝えることで、以前より納得感をもって動いてもらえるようになりました。「人は感情で動く」生き物ですが、それを再確認できたように思います。
 
 

「前提を伝えてもらうことで広報の仕事がやりやすくなった」――広報・リンクワーカー 塚本真理子さん

 
クリニックに併設されたJaroカフェの運営や広報・リンクワーカーとしてPR・ディレクションを行う塚本さん
クリニックに併設されたJaroカフェの運営や広報・リンクワーカーとしてPR・ディレクションを行う塚本さん

塚本真理子さん
メンバー同士が「共通言語」や「共通認識」を得たことで、以前より仕事がしやすくなりました。例えば、広報物を作る際は依頼者の目的や背景をヒアリングした後にターゲットを選定、その後、媒体やデザインなどのクリエイティブを決定していきます。その際に、背景や目的をはじめから丁寧に伝えてもらうことで、私は最善の選択をすることができます。社会人としての基礎を体系的に学んだ経験がなかったので、今回のプログラムは全体の底上げをしてもらえた良い機会でした。もっとアドバンスな内容も学んでみたいです。
 
 

「実際に学んだことを仕事に活用!」――事務主任・川崎真由美さん|介護福祉士・中屋太一さん|作業療法士・佐古慎伍さん

開業当初から医療事務部門に勤務する、事務主任の川崎さん。
開業当初から医療事務部門に勤務する、事務主任の川崎さん。
 
川崎さん 各部門のリーダーが集まり、一緒に話せたことが新鮮でした。事務部門のことをみなさんに知っていただく機会はなかなかないので嬉しかったです。私個人としては、人材マネジメントの回で学んだ知識を新人教育の場面で実践してみました。順番を組み立てて伝えられるようになったことで、スムーズに指導することができました。
 

開業当初から病棟患者さんのサポートをおこなう介護福祉士の中屋さん。現在は介護部門のリーダーを務める。
開業当初から病棟患者さんのサポートをおこなう介護福祉士の中屋さん。現在は介護部門のリーダーを務める。

中屋さん
会計の講義が学びになりました。これまで、病院経営についてしっかりと考える機会がなかったので非常に良い機会でした。介護部門では大きな売上をあげることはないので、いかに「コストを削減」して貢献するかがポイントだと思うようになりました。部屋の電気やエアコンをこまめに消す、ゴミ袋を大切に使うなど、身近なところから実践しようと考えました。日々の積み重ねが大きな変化に繋がるということを確認できた講義でした。
 
 
 
訪問リハビリ部門で勤務する、作業療法士の佐古さん
訪問リハビリ部門で勤務する、作業療法士の佐古さん
 
佐古さん
ロジカルシンキングの講義のなかで学んだ「1分で周りを納得させる」というのが印象に残っています。講義後に、メンバー同士でMECE(※1)を使って会話をするようになり、マネジメント会議でも「MECEで考えよう!」というコメントが飛び交うようになりました。この考え方は、現場ですぐに実践できる内容だったのが良かったです。私は訪問リハビリという仕事をしているため、利用者さんと長い時間関わることが多いです。そのため、伝え方を意識してコミュニケーションをとるようになりました。

 

「マネジメント人材育成プログラムの魅力」看護師・道廣詠子さん|看護師・古賀美由さん

ほーむけあクリニックでの勤務5年目。現在は外来師長を務める道廣さん
ほーむけあクリニックでの勤務5年目。現在は外来師長を務める道廣さん
 
道廣さん
これまで、マネジメントに関する様々な本を読んできましたが、現実は本を読むだけではなかなか変わらないものです。今回の研修では、みんながどう考え動くのかを間近で感じることができてとても良かったです。岩本先生の講義は、「どのスキルも誰でもできる」というメッセージのもと進められたので、それが学びの意欲向上や自信に繋がりました。ケースメソッドを通して実践的に楽しく学べることにも安心感があります。
 
 
 
子どもの外来受診をきっかけに2年前に就職した、外来看護師の古賀さん
子どもの外来受診をきっかけに2年前に就職した、外来看護師の古賀さん
 
古賀さん
初回で「一人ひとりの意見を尊重する」「否定しない」というルールを作ってくれたことで、発言しやすい雰囲気ができました。受動的な講義に慣れていたので、参加型の講義はとても新鮮で楽しかったです。ファシリテーションの講義では、実際に岩本先生がファシリテートする姿を目の前で見ることができて学びとなりました。また、毎回終了後に記入する振り返りシートを通して、他のメンバーが考えていることを知れたのも良かったです。
 
 
 

まとめ

今回の研修では、フラットで楽しい雰囲気の中で、ケースメソッドを取り入れた実践的なプログラムにより、スキルアップとともに、職員同士の仲がより深まりました。また、マネジメントに関する基礎を体系的に学べたことは、リーダーたちの満足度につながったようです。 リーダーたちの成長した姿やいきいきとした表情から、ほーむけあクリニックが確実に新たな一歩を踏み出したことが伺えました。 株式会社DTGが提供する「MBMプログラム」は、ビジネススクールの基礎科目をもとに、医療従事者向けにコンパクトにまとめられた人材育成プログラムです。医療現場のリーダーや管理職を自院から輩出することを目的に行っています。 めまぐるしく変化する医療現場では、高い視座と広い視野、行動力を兼ね備えた真のリーダーが必要不可欠です。 未来を見据え、進化を続けるほーむけあクリニックから、今後も目が離せません。
 
 
 
※1 「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「ミーシー」または「ミッシー」と読み、「モレなく、ダブりなく」と訳されます。物事を考えるときに、必要な要素を網羅しながらも、それらが重複しないようにする考え方を指します。論理的思考(ロジカルシンキング)で必要となる基本概念です。
 
 
 
【取材・執筆=河村由実子、撮影=織田泰正】
 
 
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